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いよいよモーニングビジネススクールも最終回です。このモーニングビジネススクールの放送の終わりとともに、私自身も来年3月で、九州大学を退職することになります。 そこで、実際に来年の春から本格的に取り組むことでもありますが、「人生100年時代の生き方と社会の活性化」という話をさせていただきます。 「人生100年時代の生き方と社会の活性化」というのは、高齢化が進む中でも社会は活性化していくということです。国連による2023年版の「世界幸福度報告書」によると、日本人の幸福度は世界で47位でした。これでも昨年の54位から7位上がっています。皆さんは、この結果をどう思われますか。低いと思われますか?確かにあまり自分が幸せだなと日々実感するわけではないですが、それにしても世界的に見て、こんなに低いのです。 もちろん統計の取り方や解釈にもよるとは思いますし、感じ方の違いもあるでしょう。ただ、人生100年時代で、私たちが90代までは当たり前に生きることになったとして、「まだまだ時間があるので、やりたいことができるのは楽しみ」とポジティブに考える人と、「長生きするのは良いけれど先々の生活が不安」と考える人と、どちらが多いと思いでしょうか?恐らく不安に感じる人も少なくないでしょう。何年か前に、年金だけでは老後に2千万円足りないという話もありました。実際に日本の9割の企業や組織では、退職年齢は60歳です。そうなると年金が支給される65歳まででさえ、仕事を探して、その間を繋ぐ必要があります。 そして、人生100年と考えると、60歳や65歳の年齢でも、まだ3分の1が残っているということになります。そこに不安を感じると、幸福度が低いのは当然ではないでしょうか。 一方で、少子高齢化で、日本の人口全体だけではなく、生産人口が大幅に減少することになります。そのために社会的な負担が増し、日本の国力も落ちることが心配されています。多くの人たちが退職する中で、人手が足りなくなるという現象です。そうであれば、退職するシニアの能力活用によって、個人の不安と社会の課題の両方の解消に向けて、大きく転換させられないかということになります。 2018年11月号のハーバード・ビジネスレビューに、「シニア世代を競争優位の源泉に変える」という論文がありました。高齢者を一括りにして、組織や社会に負担という先入観を捨てると、シニアの持つ豊富な知識や経験、調整能力は、組織の優位性にも繋がるという、とても心強い論文でした。但し、シニアが働きやすい勤務体制や環境を整えることが、前提になるということです。もちろん現役時代と同じ体力や持久力を期待するわけにはいきませんが、様々な形でその能力を活かすことはできるのではないかということです。労働力としての人材不足の解消だけではなく、適切な仕組みを作ることで、シニアの能力を前向きに活かすことができるということです。 『Life Shift 100年時代の人生戦略』の著者のリンダ・グラットンさんらも書かれていたことですが、今までの生き方が、「教育と就労と引退後」の3つの段階で構成されていたとすれば、これからのモデルは、マルチ・ステージ、複数の段階になっていくとのことです。現在の60歳や65歳は、昔に比べればはるかに健康なのではないでしょうか。そのように考えれば、まだまだ次、またその次と活躍できる場はあるとも言えます。いまその実現に向けて、いろいろと企画をしています。意識転換の研修、仕事の創造、働く枠組みづくり、地域活動の開拓など、5つくらいの内容です。単に就労を支援するのではなく、研修・仕事づくり・枠組みづくり・地域活動を行います。まだ試行錯誤の部分も多いのですが、このような多様なアプローチが必要と感じています。例えば、シニアが働くには、企業も本人の意識も変わる・変える必要がありますので、研修がとても重要だと思います。もちろん今まで培った知見が重要なのは間違いありませんが、今までの仕事や役職とは一旦切り離さないと、次の段階には入りにくいと思います。その他、新しい仕事や働き方の枠組みを創造することや、経験を地域や市民活動で活かすことなどを考えています。 これらの活動を通して、人と社会の活性化に繋げ、福岡から優れたビジネスモデルを発信することで、全国各地でそのモデルが模倣され導入されれば、これから先の不安が、これからの楽しみに変えられると信じています。「やりがいのある仕事、充実した日々、生きがいのある人生」が実現できた時に、日本の幸福度も、少しずつ上がっていくのではないかと期待しています。 QTnetモーニングビジネススクールも、今日のこの放送をもって終わりになります。九州大学ビジネススクールが設立されたのは、今から20年前の2003年4月でした。そしてこの番組モーニングビジネススクールは、2006年5月29日に、私が担当して「ビジネス・スクールとは何か」をお話しさせていただいたのが、最初の放送だったようです。今まで国際経営と国際ロジスティクスに関して、17年間で300以上のお話をさせていただきました。 番組を始めた頃は、九州で初めてのビジネススクールとして、まだまだ認知度があるとは言えない時期でしたので、みなさんにその存在を知っていただく上でも大変に有効でした。そして、何よりも国内のビジネススクールとしては、唯一教員がメディアを通じて、自分の研究を説明させていただいていたことになります。 この放送にあたっては、本当に多くの方々にお世話になりました。17年間スポンサーとして、このような貴重な機会をいただいたQTnetのみなさん、常に支えていただいたエフエム福岡の方々や、リスナーのみなさんに、心から感謝いたします。 今日のまとめ:人生100年時代にあって、シニアの能力活用によって、労働人口の減少や社会課題解決に繋げて、社会の活性化を目指すこと。

<計画よりもまず行動> 新規事業を立ち上げる際には、事業計画(書類)を作成しなければならない。ただ、事業が革新的であればあるほど、過去の成功経験が通用しなかったり、必要な情報が手に入らないことも多い。わからないことだらけなのだ。こんな状況で、単に「一見理路整然と、それっぽく書き上げた」書類にはほとんど意味はない。 従って、アイデアを思いついたら、小さくても良いから素早く実行してみて、そこで得られた結果から更に良い方向に進める方法を考えて試す、という試行錯誤のサイクルを速くことにこそ価値がある。 PDCAループは、PではなくDからスタートし、その結果をCheckしてPlanにフィードバックするActionを大切にするループとして回すほうが重要だ。 <自分独自のものの見方や考えを持つ> なにかの解決策を導き出すときに、物事を論理立てて考える「ロジカル思考(ロジカル・シンキング)」や、ユーザーの隠れた問題を観察して発見し解決する「デザイン思考(デザイン・シンキング)」が知られている。これはこれで重要だが、それらの手法を駆使してもなお答えが見つからないことも多い。結局、答えは「自分の中」にしかなかったりする。 これからの世の中は、ますます多種多様な情報や製品で溢れかえり、単純な正解がない世界が広がっている。だからこそ、自分なりの「ものの見方・考え」を持つ訓練がとても大切になる。近年は、アーチストが持っているユニークなものの見方をヒントに自由に思考する「アート思考」も注目されている。 自分独自のものの見方や考えを持って山を登って初めて、他に誰もいない頂上から自分だけの新しい景色が見える。 <ネガティブ・ケイパビリティを発揮する> 人間は、様々な社会の状況や自然現象、自分の苦悩の理由を分かろうとする「ポジティブ・ケイパビリティ」と、どうにも答えの出ない、対処しようもない事態に耐える「ネガティブ・ケイパビリティ」の両方を持つ。近年はSNSで瞬時に他人の考えや活動を知ることが出来るので、「ポジティブ・ケイパビリティ」に依存してしまい、拙速で安易な答えに飛びついて満足してしまったり、マニュアル思考に陥ってしまったりする。これは問題の本質に辿り着かず、解決した気になるだけなので問題だ。 従って、ネガティブ・ケイパビリティを発揮して、答えが出ない状況に耐える力を持たねばならない。そのためには、好奇心を持ち続けること、怒りや悲しみといった持続性のある感情を大切にすること、少数派であることを厭わないこと、などが重要となる。 忙しい毎日に押し流されず、簡単に答えが出ない状況に耐える力を持ち、時間をかけて粘り強く自分の問題意識に向き合うことに敢えて時間を割いてみてはどうだろうか。

今日は最初にグローカルという話をします。Think Global、Act Localという言葉です。放っておくと自分の周りしか見ないで、世界の問題を解決しようという人が出てきてしまい、それは良くないです。Think Globalというのは、世界で起こっていることをそれなりに把握しないと、自分だけではなくて自分の会社の従業員やその家族も困ったことになります。世の中で何が起こるか把握しておかないといけません。それをThink Globalと言います。だからといって世界の問題を自分で解決できるわけがない。Act Localというのは、自分はどうしよう、自分の会社をどうしようと、自分が出来るところでなんとかするということです。ということで、最初にThink Global、Act Localでいかないといけないという話をしてから今日のテーマに移ります。 まず一つ目が米中対立の話です。ソ連が崩壊して以降、アメリカが唯一の超大国でした。30数年で中国がどんどん大きくなって購買力平価でアメリカを超えました。そういう意味ではアメリカと中国が二大超大国の時代に入っています。日本はどうするべきかですが、日本は自由民主主義で、どちらかというと中国よりもアメリカの核の傘の下に入っているということもあり、アメリカの味方をするということですが、中国があまりに大きくなってしまったので、日本企業が中国を撤退することは無理です。工場だけでなくて顧客のいる市場になってしまったからです。そういう意味では中国と戦争する、中国から撤退するというのは無理です。 アメリカはデ・カップリングと言っていました。デ・カップリングというのはアメリカのサプライチェーンと中国のサプライチェーンを分離して、中国に関わらないでアメリカとその友人たちのサプライチェーンだけでやっていこうということです。それは日本企業からしてみれば中国から撤退して、アメリカを中心とするサプライチェーンのみに参加してくれという話です。ところが、日本企業は少し嫌で、EUのヨーロッパ企業も嫌で、アメリカの多国籍企業も嫌でした。アメリカに対してなかなか面と向かって嫌だと言いにくかったので、この間EUがデ・カップリングではなくて、デ・リスキリングでしょうと言ってくれたので、日本はラッキーと内心思っていました。デ・リスキングというのは、リスクをできるだけ回避しましょうという意味です。サプライチェーンを分離するというのはもう無理だということを正面から認めて、出来るだけリスクを回避するということで頑張りましょうという話になっています。 次に、AIや生成AIの話です。今、ホワイトカラーがやる仕事が段々減ってきて、生成AIで更に仕事をとられてしまうのが加速するということが起こりつつあります。今まで日本の企業では個人主義というのはあまりありませんでした。共同体で稟議制で意思決定しましょうというものでした。誰かが稟議を書いて皆で意思決定をするということで、実行するのは他の国と比べてもすごく信頼がおけるといういいところはありますが、なんだか遅い、誰が決めて責任をとらないといけないのかわからないという面もあります。生成AIでかなりの人がこれから仕事を失うということがおき始めていて、そうすると人間が仕事をし続けるためにはどうしたらいいかと、AIに負けないような付加価値を提供できる専門家にならないといけないという状況になっています。ところが今まで日本企業は3年ローテーションで何でもできる人にしましょう、銀行でいうとまず支店長を目指しましょうということをやっていました。ところが、AIに出来ないような付加価値を提供する専門家は3年では出来ません。そうすると、複線化人事と言って、今までみたいなジェネラル・マネージャー、なんでもできる人をゆっくり育てるというような話だけではなくて、AIが出来ないような付加価値を提供できる専門家を長い時間をかけて育てるというような時代にならないといけないという話になっています。 私が40年ほど前にアメリカのメロン銀行というピッツバーグの銀行で働いていた頃、人事部でなくて本人がキャリアを企画する制度は既にありました。3か月毎にオープニングジョブリストが回ってきて、もしやりたいことがあったら3年今の自分のところでやっていれば手を挙げて下さい、もし我々の方で欲しいということになれば認めますと。要するに人事じゃなくて、本人がキャリアプランを作ってそれを実行していくというのがアメリカやイギリスのキャリアプランです。ところが日本というのは、職業選択の自由、どこの会社に入ろうかというところは自由ですが、入った後のキャリアは人事が思うように決めていくため、本人がこれをやりたいと決めていくということは起こらないわけです。しかし、生成AIが導入されて付加価値を提供できる専門家を作らないといけないという話において、誰が作るのかというと人事部が本人のやりたくないことを長期間強制して専門家にするのは無理で本人が希望してならなければなりません。そういう意味では、終身雇用で一つの企業で皆がジェネラル・マネージャーをめざすのではなくて、たくさん転職してもずっと同じことをやり続けて何かの専門家になる、AIの提供できない付加価値を提供できるというよう専門家も認める人事制度がこれからは求められていくということになると思います。 日本国憲法第13条は憲法の中の最高規範と言われていますが、個人を尊重して、個人が自由に幸福を追求することが出来る。公共の福祉が妨げられない限り、個人は自由に幸福を追求していいと書かれています。ところが憲法で書いただけで実際はそうなっていません。日本は共同体主義で、個人の自由は非難されてきました。今世の中変わろうとしています。自分の幸せは、自分で追及しなければなりません。自分でどのように自分の幸福が変動してきたか、自分の価値体系はどのように出来ているかということを把握したうえで、自分のキャリアプランを自分で作っていくということが求められています。

今回は、「大きな転換期を迎えている今、私たちはこれからの未来をどう生き抜くか」というトークテーマをいただいています。このテーマについて専門分野の視点からお話しすることになっている訳ですが、正直に申し上げると、非常にテーマが大きいために、何をお話ししたものか考えあぐねていました。しかし、ともかく、このテーマに表れている問いに対する私自身の違和感から話し始めてみようと思います。 まず「私たちは大きな転換期を迎えている」という認識は、今に始まったものではなく、おそらく歴史上のどの時点でも、その時代を生きた人々に持たれていたのではないかということです。どの時代にも、その時代なりの困難というものがあり、その困難さを強く意識する人々によって、今こそこれまでの生き方、働き方を変えなければならない「転換期」を迎えているのだと認識されてきたのではないかと思います。それぞれの時代の困難には、他の時代状況とは異なる固有性が認められるでしょうが、一方では、その質において互いに類似した性質を持つ時代を見出すこともできる筈です。そう考えると、自分たちの直面している困難の重大さを特権化して、今こそが大きな転換期であるとする意識は薄れてくるのではないでしょうか。 私が、こういうトークテーマに水を差すようなことを言うのは、現状の困難さを誇大に宣伝して危機感を煽るようなことは、学者が最も慎むべき行為だと思っているからです。無論、自然現象であれ社会現象であれ、学者は自らの研究対象に何らかの重大な変化の兆候を発見することがあれば、それをいち早く社会の構成メンバーに伝えて、必要な行動を促すべきです。しかし、それが重要な義務であればこそ、さしたる根拠もなく徒に社会的な注目を集めるような言辞を弄んではならないと思うのです。そうでなければ、学者が本当に重大な危機の兆候に気づいた時に警鐘を鳴らしても、社会に信用してもらえなくなるでしょう。 例えば、近年の状況を、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)の頭文字をとって「VUCAの時代」と呼ぶ人たちがいます。VUCAという語は1990年代に米国で生まれた軍事用語として知られていますが、それが近年ではビジネスを取り巻く予測困難な状況を表す言葉として使われている訳です。実際、このような言葉は、新型コロナウィルス、激甚災害の多発、ロシアのウクライナ侵攻といった予測困難な要因が経営環境を変動させてきた状況を経験した企業にとって受け入れ易いのかも知れません。しかし、こうした環境変化を「VUCAの時代」などと呼んでみたところで、困難の本質が見えてくるわけでもありませんし、せいぜい情報収集能力を高め、迅速な意思決定を行うことがこれまで以上に重要だという程度の凡庸な結論が導き出されるだけでしょう。 ただ、実際に現在、自らの関わっている企業経営が何らかの事情で転換期を迎えていると認識されている経営者やビジネスパーソンはおられる訳です。そうした認識をお持ちの方々のご参考に供するためは、今日の日本企業が直面している一般的な経営課題とその解決策についてお話しすると良いのかも知れませんが、既に私は最近の放送の中で、日本的経営を再検討する視点から、その点については論じたことがあります。そこで、今回は私がお話しする最後の機会でもありますから、いま切実な苦境に立たされている経営者やビジネスパーソンを想定して、一般的な経営課題ではなく、目の前の苦境を乗り越えていただくために、私が最低限申し上げられることを申し上げてみたいと思います。 まず、先にも述べたように、どれほど困難な経営環境に思われても、大抵の状況は長い歴史の中で見れば、既に私たちの社会が少なくとも一度は経験しているものだと言うことです。従って、かつて同じような困難に直面した人々が、その状況とどのように対決し、どのような教訓を残したのかを振り返ることによって、今日の困難を乗り越えるための手掛かりが得られる筈です。経営学を含む社会科学という学問は経験科学ですから、そのような手掛かりを、経験的なデータに基づいて提示することはできる筈だということです。 また、どれほど困難に思われる状況でも、それを歴史的な時間の中において見れば、必ず終わりが見えるということ、終わりのない夜はないということです。長く続いた新型コロナウィルスのパンデミックにも、私たちは漸く出口を見出しました。この経験を忘れずにいることは、現在の苦境を乗り越え、将来に向かって生き抜く上で重要かと思います。ともかくも生きて、皆さんの経験を将来に繋いでくださいと、申し上げたいのです。 そして、少し時間的に余裕があれば、皆さんの苦境を歴史的な時間の中で相対化し、その経験を科学するための方法を学ぶために、大学という場にいらしてみてください。そこで私が皆さんにお会いすることがあれば、「VUCAの時代」などという聞いた風なことは決して言いません。ただ、もう還暦を過ぎた年寄りですから、「心配なさるな。お前様、それはな、実は昔もあったことなのじゃよ」という言葉遣いで、話を始められるようにしたいと思います。

今日は私が考える「私たちは、これからの未来をどう生き抜くか。」についてお話ししてみたいと思います。私のキーワードは、「自分らしさ」です。 リスナーの皆さんの「自分らしさ」って、何でしょうか?すぐに答えが出る方もいらっしゃると思いますが、「ちょっと待てよ。そんなこと急に言われても」と戸惑う方も少なくないのではないかと思います。この質問を企業に勤めるビジネスパーソンにお聞きすると、実は口ごもる人が少なくありません。なぜでしょうか。 実は、会社組織では「自分らしさ」を発揮することが求められていないからです。「自分らしさ」を発揮するのではなく、例えばマニュアルや規則に書いてあることをしっかり守ることが求められます。会社の期待通りに行動することが求められるわけです。その結果、職場では、「自分らしさ」を考えることや、ましてや「自分らしさ」を発揮する機会は本当に少なくなってしまいます。この意味で、組織というのは大変怖い側面を持っています。「朱に交われば赤くなる」というわけです。 皆さんが何か新しい企画を考える機会があったとしましょう。新しい企画なので、自由な発想で自分らしい企画を考えてよいかというと、必ずしもそうではありません。上司や周りの同僚が納得するような案を考えることが求められるからです。社内から異論・反論が起きないような答え、言ってみれば無難で、誰もが「確かにそうだよな」という企画案こそが、「良い」企画案とされてきました。そうした案を早く作ることができる人間が「できるヤツ」と言われてきました。そうした「良い案」を作らなければならないので、「自分らしさ」を考える暇などあるわけがありません。つまり会社には、「自分らしさ」を忘れさせる力が動いているといってもよいと思います。多くのビジネスパーソンが口ごもるのは、このようなわけがあるからです。 さて、今日なぜこの話をしているかというと、これからの時代は、これまでとは大きく状況が変わって、「自分らしさ」がとても大切になると思っているからです。 最近、新しいAIである、ChatGPTが大変話題になっています。皆さんの中にも使ったことがある方もいらっしゃると思います。ChatGPTは世界中の情報を集めて、論理的に分析した結果をわかりやすい日本語でアウトプットしてくれます。ChatGPTの強みを一言でいうと、誰もが納得する答えを出す力と言ってもよいと思います。そして、これからの時代は、誰もがこうしたAIの力を自由に使えるようになります。そうすると、これまで会社で求められてきた誰もが納得する企画案は、AIが作ってくれるようになるのです。 では、一体人間は何をすればよいのでしょうか。これを考えるためには、AIにはできないことを考えることが一番です。AIにはできないこととは何でしょうか?AIはなんでもできてしまいそうですが、実はAIは企画を作ったり、回答を出すことはできますが、それを実行したり、実現することはできません。 例えば、これからの外食産業を勝ち抜いていくためには、こういったカフェがよいだろう、という答えをAIは出すことはできますが、カフェを実際に作り上げていくのは誰でしょうか?それは人間です。そして、カフェを創るためには、多くの人がかかわってきます。デザイナーもいれば、食材の専門家もいる、スタッフの募集をしたりお金の計算をする人も必要です。みんな仕事の進め方も、ひょっとすると考え方自体も異なるかもしれません。そういった多様な人たちをまとめて、一つのカフェを創っていく。それは、実は簡単なことではないのです。 それではいったい何が必要なのでしょうか?それはリーダーシップです。考え方も、そして、ひょっとすると生き方も異なる人たちと一緒に、目指すものを作り上げていく力、これがリーダーシップです。具体的には何を目指していくのか、そしてそれは何故なのかを語っていくこと、この場合だと、どんなカフェを創りたいのか、そしてそれはなぜなのかを自分の言葉で語りかけ、多くの人たちのやる気のスイッチを押していくことが必要です。言葉をかえると共感を生み出す力と言ってもよいと思います。「そうか、この人がそういうのであれば、一肌脱いで頑張ってみるか。」を思わせることがとても重要になるのです。 よくリーダーシップというと、古くはキング牧師、最近ではスティーブ・ジョブスやイーロン・マスクのようなカリスマ性があって、かっこよくてパフォーマンスが上手な人を思い浮かべてしまうのですが、実はこうした人たちだけがリーダーシップの見本ではありません。例えば、インドを率いたガンジーや多くの弱き人たちを救ったマザーテレサなども素晴らしいリーダーです。雄弁でも何でもない、派手なパフォーマンスとは無縁の人です。彼・彼女がしたことは、自分が何を目指すのか、それはなぜなのか、そして自分はどんなことを大切にしていきたいのかを自分の言葉で多くの人に語り掛けたことです。それは、彼・彼女の「自分らしさ」そのもの、「自分らしさ」の本質といってもよいと思います。自分がどんなことを大切にし、自分が心から成し遂げたいと思うことは何か、それを自分の言葉で語ることを通じて、何千・何万という人の心に共感を生み出していったのです。 リーダーシップとは、「自分らしさ」を発揮することです。これは、AIにはできません。AIが作った文章を読んだことがある方はお気づきのとおり、AIの文章には感動がないのです。心が動かないのです。共感しないのです。これからの時代、我々人間にしかできないこと、すなわち多くの人に共感を生み出すために、是非「自分らしさ」を大事にして欲しいと思います。 今日のまとめ: これからの未来を生き抜いていくために大切なこと。それは、「自分らしさ」です。皆さんの「自分らしさ」を、今一度見つめなおす機会になれば嬉しいです。

テーマに対する私の考えは、「組織の中に様々な国の人を受け入れて、一緒に働いて、議論をすることを通して、グローバルスタンダードな自己主張、リーダーの振る舞いを学んでいく」というものです。なぜそう考えるのかを順を追って説明します。 欧米、特にアメリカには「竹の天井(bamboo ceiling)」という言葉があります。欧米社会、特にアメリカ企業では、アジア系がリーダーに昇進しにくいという状況を表す言葉だそうです。少子高齢化が進んで、日本企業も日本人も、これからはどんどん海外で活動していかないといけないのに、アジア系が出世出来ない「竹の天井」があるというのは、困った問題です。 でも一口にアジア系といっても「竹の天井」によって出世が出来ないのは、東アジア系、つまり、日本・韓国・中国の人材だという事も、ごく最近分かってきました。 マイクロソフト・Google・スターバックス・シャネル・フェデックス、これらの企業に共通する特徴は何でしょうか。上場しているとか、世界でかなりの利益を出しているといった共通点はありますが、これらの企業のトップ(CEO)は、インド出身者です。マイクロソフトのCEO、GoogleのCEOがインド出身者というのは、最近ではかなり有名です。でも、アメリカンなイメージが強いスターバックス、フランスの高級ブランドのシャネルも、リーダーはインド出身者です。 アメリカの企業の中でも特に格付けの高い、スタンダード&プアーズ500社の過去8年間のCEOを調査した研究がありますが、インド系がCEOになる確率は、白人よりも高いそうです。ただその一方で、同じアジア系でも東アジア、つまり、日本・韓国・中国の東アジア系がCEOになる確率は、白人よりも低いそうです。 しかし、人的資本という観点では、アジア系は白人を上回っているということは、結構以前から知られています。アジア系は学歴が高い、所得水準が高い、失業率が低い、犯罪率が低いなど、アジア系の人々が優秀であることは、様々な調査で明らかになっています。でも、リーダーにはこれまで白人が選ばれてきました。ただし、最近はインド系のリーダー達の活躍もめざましいのです。ではなぜ、東アジア系だけがリーダーになりにくいのか。マサチューセッツ工科大学(MIT)のジャクソン・ルー助教授が詳しく調べています。どうしてだと思いますか。 ジャクソン・ルー先生達は、英語の流暢さには差が出ないような工夫をして調査をしています。つまり英語力以外の3つの要因を見ています。まず「偏見」、つまり民族差別です。これに注目しました。分析の結果、何とインド系は東アジア系よりも強い偏見を受けているという事が明らかになりました。多くの白人達は、インド系に偏見を持っているにもかかわらず、リーダーを選ぶ際には、東アジア系よりも、インド系を支持するということも分かりました。次に注目した第2の要素が「モチベーション」。つまり出来るだけ一生懸命働こうとするかということです。こういった仕事への意欲を調べたところ、東アジア系とインド系には、差が無いという事が分かりました。最後に注目したのが「自己主張」。これが大きく違っていました。「適切な時には自分の意見を述べ、みんなと共有する」とか、「意見の対立が起こった時には、進んでそれに関与する」とか、「激しい対立の中でも自分の立場を貫く事が出来る」といった質問に対して、インド系の人材は「はい」と答える人が多かったのに対して、東アジア系はそうでもありませんでした。きっと東アジアの我々は空気を読んでしまうのだと思います。 これは、日本初のイノベーションをこれからどんどん世界へ広げていく上では大変困った問題です。なぜならば、イノベーション、特に将来大きな価値を生む画期的なイノベーションのためには、今のやり方を根本から変える必要があるからです。でもそんな事をすると、当然組織の中で反発が生まれます。そこで空気を読んだり、譲ったりしたりはいけないのです。自己主張をしなくてはいけない。そして、上手に自己主張をするためには、相手を傷つけないような反論や、ディベートの作法を学ばなければならないでしょう。 今日のまとめ: これからの未来をどう生き抜くか、私の考えは、組織の中に様々な国の人を受け入れて、一緒に働いて議論する事を通して、グローバルスタンダードな自己主張やリーダーの振る舞いを学んでいくです。グローバル世界でリーダーになるためには、上手な自己主張を身につけなくてはいけません。これが私の答えです。

今回は、大きな転換期を迎えている今、私達はこれからの未来をどう生き抜くかというテーマで話します。転換期にあるということなので、今後どう我々が生き抜いていくべきか中々将来見通せません。そうした中で、どういうふうに我々が進んでいくかということですが、ポイントが2つあると思います。 一つ目のポイントは我々よく知の深化と言うものです。掘り下げて深めるという意味の深化です。簡単に言うと、得意を伸ばすこと、やはり得意分野を持っている方や組織は強いと思います。例えば、日本のものづくりを源流とするリーン生産方式というものがあります。リーンというのは無駄を排した贅肉のないという意味です。ですので、例えば生産過程において余計な在庫を持ちすぎず、お客さまからの注文に対して滞りなく生産を回していくような生産システムのことをいいます。このデジタルの時代において、データから情報を引き出して生産の流れを制御する上ではリーン生産方式は非常に有効に機能すると私は考えています。ただ得意を伸ばす上で重要なポイントがありまして、それは得意とすることの根底にある本質を見極めることです。先程申し上げた日本の生産システムでいいますと、例えば、「かんばん」とか「かいぜん」とか「あんどん」といった言葉は既に英語化しているといっても過言ではないほど海外で通じます。但し「かんばん」にしても「あんどん」にしても生産管理するための手段に過ぎません。日本のものづくりの根底にあるのは生産の上流から下流に向かって付加価値を生むようなスムーズな流れをつくっていくことにあります。ですので「かんばん」や「あんどん」というのは手段に過ぎないわけですからそれそのものはどんどん変わっていきます。ただ一方で、スムーズな流れを作り込んでいくという本質自体はそうそう変わるものではありませんので、我々が伸ばすべきなのはその強みの本質となるスムーズな流れづくりという部分にあります。 もう一つのポイントは、得意を伸ばすということは重要ですが、一方で今得意なことにこだわりすぎるのもあまりよくない、そこで今後生き抜く上での第二のポイントとなるのが得意分野以外に目を向けていくことです。これ言いかえますと、知の探索というものです。新しい分野にこの知識を広げていこうという姿勢です。現在の経営学では得意を伸ばすこと、すなわち知の深化と、新たな可能性を探ること、すなわち知の探索、この両立を図ることが重要だと考えています。これをいわゆる両利きの経営といいます。 但し、自分の得意分野以外のことも全て自分で勉強して身に付けるというのはものすごく難しいことです。そこで重要となるのが2種類のネットワークです。一つ目はいわゆる社内のネットワークでして、社内には色んな得意分野を持った人達がいます。ですので、自分が不得意なことについてはそれを得意とする人に聴いていけばいいのです。そのときに誰が何を得意としているのか、これを知っていないと誰に助けを求めればいいのか分かりませんので、そこがポイントになってきます。このように誰が何を知っているのかを知っているということを、経営学ではトランザクティブメモリーといいます。このトランザクティブメモリーを上手に発揮していくためには、お互いに見知った関係であるということが重要です。単にメール上だとか、Web上で知っているというだけではなく直接会った経験がある、そういった相手であるほど誰が何を得意としているのかという経験が非常に鮮明になるとこれまでの研究で明らかになっています。 もう一つのネットワークは社外のネットワークです。より広く新たな知識や発想を得る上では普段会っていない他社や他の業界、他の国の人々と交流することが非常に重要になってきます。一つ例を挙げると、いささか古い例ではありますが、トヨタ生産方式の生みの親と言われる大野 耐一さんという方が1956年にアメリカに視察旅行に出かけました。この時のメインの訪問先は当時のゼネラル・モーターズやフォードといったメーカーでした。ところが彼がアメリカで一番強い影響を受けたのはスーパーマーケットだったそうです。スーパーマーケットのセルフ方式をみてトヨタ生産方式の代名詞とも言えるジャストインタイムを思いついたといわれています。全く異業種の取組から革新的なアイデアを着想しましたが、そこで重要になったのがこの大野 耐一さんが物事の本質をずっと問い続けたということです。スーパーの売場と工場の生産現場とは全く違うように見えます。ところが大野 耐一さんはスーパーにおけるセルフサービス販売を見て、これは後工程であるお客さまが前工程である商品棚に自分で商品を取りにいって生産すると、そのように見てとったのです。これは生産管理の用語でいうと後工程引取りといいますが、まさにその様子をスーパーを見て思いついたということで、まさに慧眼というべき観察力です。平時から自分が解くべき課題の本質を問い続けていたからこそ出来たことだと思います。 今日のまとめです。大きな転換期を迎える時代において、今後生き抜く上では第一に得意を伸ばすことが重要です。一方で現在の得意にこだわりすぎると視野狭窄に陥る可能性があります。そこでネットワークを通じ、視野を広げることが重要となります。その際、誰が何を知っているか、何を得意としているかを知るトランザクティブメモリー、これを鍛えることが重要です。また、異なる業界や異なる文化の人々と交流する上では表面的な違いに惑わされず、現象の根底にある本質を見極めることが重要となってきます。

大きな転換期を迎えている今、私たちがこれからの未来をどう生き抜くかというテーマについて、リスクマネジメント、リスク学と学問分野では言いますが、これと企業倫理学の観点からお話していきます。私の研究は企業不祥事、特に産業事故の防止方法、簡単に言えば、企業や社会にとっての災難をどう防ぐかという内容になります。やはり災難を避けたいというのは人間の本来的な願いです。ですので、この研究分野はかなり歴史も長く、今でも多くの方が研究に取り組んでいます。 これだけ長い時間にわたって研究されていると、必然的に分析される企業不祥事や事故のケースというものは、時代の変化とか様々な社会の転換を踏まえたものになっています。例えば、企業不祥事で最近よく聞く代表格といえる個人情報の漏えいなどをみても、時代の変化や社会の転換が色濃く出ています。例えば、かつて個人情報の保護という意識そのものが低かった時代では、そもそも企業から顧客の名簿等が少し流出してしまったくらいでは企業不祥事にすらならなかった時代というものがあります。それが2000年以降、個人情報の保護の意識が高まり、これが企業の不祥事と認識されるようになった2000年代の初期は、この個人情報を会社の内部の人間が記録媒体や名簿そのものを持ち出して不祥事に至るというケースが主流でした。さらに時代が進んで2000年代の紛失や持ち出し事件を受けて、個人情報の保護または管理が厳しくなった2010年以降では、今度は外部から組織的に不正アクセスをして企業の個人情報の漏えい事故が多く発生するという状況になっています。そして、このような外部からの組織的な個人情報の流出を試みたアクセスが行われるようになってから、個人情報の流出する件数もかなり莫大となっています。 何が企業不祥事となるかということも含めて企業不祥事のケースは時代や社会によって変化しているので、どのように気を付ければいいのか、そして、どのようにそれに対応をすればいいのかも変わってくると言えます。ただし、面白い点が1つありまして、このように具体的な事例は異なるものの、不祥事の本質的な要因やメカニズムについては、あまり大きな変化はないのではないかと近年の研究は言っています。実際にほとんど変化がないと指摘する研究者もいます。確かに、過去数十年の企業不祥事の原因や要因を分析して調べてみると、必ず組織風土の問題という言葉やコンプライアンス意識の低さという言葉が時代を問わず出てきます。また、驚くべき事に100年以上前の企業不祥事や産業事故の発生メカニズムとほぼほぼ同じようなメカニズムで発生した現代の企業不祥事や産業事故のケースも少なくありません。例えば、利益の追求を最優先して安全を軽んじて結果として製品事故や産業事故に至るという発生メカニズムを持った企業不祥事のケースは、実は時代や社会を問わず確認する事が出来ます。ですので、やはり人間の本質というものは変わらない。そして、企業不祥事もやはり人間が起こすものなので、その本質的な要因やメカニズムには変化がないと言えるのかもしれません。 では、このような事実から大きな転換期を迎えている今、私たちはこれからの未来をどう生き抜くべきかといういただいたテーマにどのような提言が出来るのでしょうか。それは、私は歴史から学ぶという事は我々が想像をしている以上に大きな意義があり、我々はもっと歴史から学ぶべきだという事になるかと思います。歴史から学ぶと聞くと、時代や社会がこんなに変化してしまった現在に、過去を振り返ったところで現在や未来にすべき事を発見する事は出来ないと思う方も多いかもしれません。確かに、過去に成功したやり方を現在そのままコピーして行ったとしても、これはやはり成功するとは限りません。しかし、先ほど述べた通り、過去の企業不祥事や産業事故の発生メカニズムとほぼ同じようなメカニズムや要因で発生した現代の企業不祥事や産業事故のケースが様々にある事を考えると、歴史から学ぶという事をあながち軽んじてはいけないと思います。なので、単純に歴史的事実を知るのではなく、そこから一歩踏み出して歴史的事実の背景にある発生メカニズムやそこにある人間の本質について考えてみる事、私はこれを歴史を知ると区別して、歴史から学ぶと定義していますが、これを行ってそこから現在や未来にすべき事を大胆に想像していく事はやはり大きな意義があると思います。 今日のまとめです。過去の歴史にとらわれる事、これはよくありません。しかし、過去の歴史から学びを得て挑戦していく事、これは大変に重要だと思います。この大きな変化の時代だからこそ、歴史を知ることから一歩踏み出して学んでみましょう。成功も失敗も含めて人が歩んできた道を知り、これから人が歩むべき道を考える糧としましょう。

今回は、大きな転換期を迎えている今、私達はこれからの未来をどう生き抜くかという共通のテーマで話します。マーケティングの観点からいくと、今回のお話の重要なキーワードは、ブランド力と海外展開のこの2つだと考えています。21世紀になってからもう20年以上経ちます。これまでの20年間、世界規模で生活にしても政治経済にしても大きな変化が起こってきました。その間、色々な企業が競争を繰り広げて、新しい技術やサービスが普及してきました。ではクイズを出したいと思います。21世紀になってから、株式市場で最も高いパフォーマンスをあげた企業はどこだと思いますか。ヒントはニューヨーク証券取引所で上場しているアメリカ企業です。実は飲み物をつくっているメーカーで、モンスタービバレッジという米国企業です。モンスター・エナジーというドリンクをつくっている会社です。このモンスター・エナジーをつくっているモンスタービバレッジという会社ですが、カリフォルニア州のコロナという所を拠点としている企業です。この企業は2003年に株式公開して、現在元の値段から11万%も株価が上昇したそうです。これは今世紀に入ってから他の全てのアメリカ企業を上回っているそうです。しかも毎年少なくとも9%以上の売上を伸ばしてきています。エナジードリンクは競合がたくさんあります。レッドブルもありますし、日本だとチルアウトやリポビタンD、そんな競争の中でもお客さんはパーティをしたり元気になりたいと思ったりした時にモンスター・エナジーを選びます。 モンスター・エナジーから少し離れますが、第二次大戦後から同じくニューヨーク証券取引所で50年以上上場を続けている中で業績の良いベスト4の企業があります。それはコカ・コーラとエクソンモービル、あとはクラフト、今のクラフト・ハインツ、レイノルズ、今のブリティッシュ・アメリカンです。これらの長くビジネスを続けてきてかつ多くの利益をもたらしてきた企業には共通点があります。それはモンスター・エナジーと同じく、どの企業もブランド力を磨き続けてきた企業達です。つまり飲み物にしろ、食べ物にしろ、自分達の得意分野に集中して、品質とそれに基づいた消費者からの信頼を高めて消費者に対して確固たるブランドを築き上げてきた企業達です。 ウォーレン・バフェットという投資家の名前を耳にすることがあると思います。最近、日本の5大商社に大きな投資をしてよく報道されている人ですけれど、この人の長年のパートナーを務めたチャーリー・マンガーという伝説的な企業家がいます。このマンガーさんが言うのは、ブランド力のある企業とそうでない企業の違いというのは、他よりも10セント高くてもお客さんが選んでくれるかどうかだということだそうです。これはとても小さな差に見えますがとても重要です。というのも、今までご紹介した企業はブランド力の高さ以外に共通していることがあります。それはどの企業も海外に市場を広げる努力をしてきたということです。先程話した10セントの差、15円の差ですが、金額は確かにほんの僅かです。しかし、海外展開して自分達の商品を販売する市場がどんどん広がれば、そういった僅かな違いが積もり積もって大きな利益の差になっていきます。勿論、海外展開して自分の製品の市場を広げるというのは非常に魅力的な戦略ですが、実際のところ、海外展開は中々難しいです。規制などの法律だけではなくて、文化の違いや、お客さんの購買行動の違いといったものもあります。 しかし、企業が海外進出しようとすることを阻む一番大きな障壁は別のことです。それは、テキサス工科大学のマリアドス教授の研究によれば、一番の障壁は企業側が持つ不安だそうです。つまり、自分の会社の製品が海外では通用しないのではないかという不安と、その結果として自分の国内の市場を過剰に重視してしまうことだそうです。ですので、ある程度のリスクと失敗を覚悟してでも成長するために市場を広げたいという意思が重要になってきます。 今日のまとめです。長い間利益をもたらし続けている企業は品質を守って消費者からの信頼を武器にするというブランド力を磨いてきました。それをベースにして海外進出のように常にビジネスの機会を広げる努力をしてきたということです。これは企業だけではなくて個人にも言えることだと思います。自分の得意なことに集中して、この分野だったらこの人だというような専門性、ブランド力を磨き上げていくということと、ある程度のリスクをとってでも自分の活躍できるマーケットというかチャンスを広げる努力をするということです。大きな時代の転換期を迎えていますが、生き延びていくための一つの有力な方策がこういったマーケティングの視点から学べるのではないかと考えています。

私は今イギリスにいるので、ZOOMで繋いで話をしています。イギリスは湿度が低くて快適です。 今日は「大きな転換期を迎えている今、私達はこれからの未来をどう生き抜くか」というテーマを異文化コミュニケーションという立場からお話します。日本は今、技術的にも組織的にも色々な問題を抱えていますが、私の専門分野である異文化コミュニケーションの立場から、日本の伸びしろを左右出来るのではないかと思っています。「異文化交流の促進」が今後キーワードになるのではないか。日本は土地が狭い島国で資源が乏しいとよく言われます。そういう不利な点を今までカバーしてきたわけですが、昨今は色々と難しいところがある。そこで突破口になるのが、国際化、グローバル化、それを果たす為の異文化交流ではないかなという気がします。 どういうことかというと、イギリスに来て分かるのですが、イギリスは人種的にもそうですし、ビジネス的にも色々な幅があり、日本に帰ってみるとまだまだだなと思う事が多いです。例えばケンブリッジには色々な国の料理屋やスーパーマーケットがあります。韓国系のスーパーマーケットでイギリスの資本でOseyoというところがあって、大きな店構えをしていますが、日本食のスーパーはまだありません。人口10万人程度の町ですからなかなか難しいのかもしれません。そのかわりお寿司屋とかはイギリスの資本でだいぶ作られていますが、日本食はブームだと聞くわりに、日本から乗り込んできている企業は今まであまりありません。 今回コロナ禍が明けて久しぶりにイギリスに来てみたら、大阪資本の杵屋というところが日本風のうどん・お弁当店を出していて、ケンブリッジのように人口が少ない所にも来ているのだなと思いました。ようやく腰が上がったという事でしょうが、まだこれが当り前にはなっていないので、今後は海外展開がキーになるのではないか。そうすると異文化交流というものも鍵になるというストーリーではないか、と思っています。 ではどうしたらいいか、ということですが、一部の人だけ異文化交流が出来ればいいということではなく、山の頂を高くしようとすると、裾野も広くないといけないので、僕らがみんなで異文化交流や外国に対するマインドセットを変えていかないと、掛け声だけではなかなか突破できないと思います。そうすると我々が出て行く時の準備もそうですし、国際化というのは相互ですから、我々が受け入れる為にしないといけないことというのもたくさんあるわけで、そのあたりがどれくらい出来るかが鍵になると思います。 今日は細かいことを言う時間はありませんが、項目だけ挙げると、出て行く側としてはもっと海外に出なさいという話です。海外に出るための学生に出す奨学金を増額すること、あるいは企業が海外研修派遣にもっと力を入れること、企業が語学教育にお金を出すことです。具体的には、最近は多いですが、修学旅行は是非海外に行って、色々な社会見学に使って欲しいです。学生さんが1年ぐらい前から行き先の検討や調査を行い、自分達の手作りで関われるような修学旅行にしていくということから始めたらどうか、という提案です。 今度は住みやすい日本、受け入れ側を作るということですが、これはどうしても日本語が不得手な方々が多いので、最近やさしい日本語で公共交通機関や市役所などが対応していることが多いですけれど、子供達、特に若い方々に来ていただくために、子供を受け入れる保育園の異文化、多言語化というのも力を入れないといけないと思います。小さい頃から刷り込まれれば、色々な人種の方がいて色々な言語をしゃべる人がいるのが当たり前だということが染みつくと思います。特に小さい頃は垣根が無いので、どんどん吸収していきます。あとはお年寄りの方が家族に引き連れられて来日するケースがあるので、日本語を勉強出来るような夜間中学的なものを充実させるという政策も必要になるだろうと思いますし、あるいは女性枠でクォータ制を導入して、たくさん女性を雇用しましょう、ということが進んできていますが、これを外国籍の方についてもクォータ制を考えたらどうだろうかと思います。そうすると当然、一定数入ってきたからには海外展開しないともったいない、という風に歯車が回っていくのではないかという気がします。 最後に、今せっかくイギリスに来ているので、ケンブリッジのお話を少しします。ケンブリッジ研修に参加している学生の様子を見ていると、こちらで晩餐会があり、そこで現地の方々と色々な話をすることがありますが、学生の事ですから非常にたどたどしいし、うまくいくわけではありませんが、結局のところ、コミュニケーションをしようとする意思が大切なんだということです。英語の検定試験的な力を付けるのもいいのですが、マインドセットを先に変えましょう。これを最後に申し上げてサマリーとしたいと思います。